2008年6月30日(月)

トピック52 ユーモア文章術(10) 上品に下品

 基本的な文章技術については、正直なところ、私自身、書いていてあまりおもしろくありません。人を笑わせる文章術については、いつも楽しんで書いています。
 さて、今回のテーマは「上品に下品」です。タイトルが奇妙ですが、伝えたいニュアンスは感じとっていただけますか?
 人間、誰しも多かれ少なかれスケベです。それゆえに、下ネタは人を笑わせる目的の文章によく使われます。
 しかし、下ネタばかりの文章は、読者を笑わせられるどころか、逆に引かれる結果になるので注意が必要です。
 大学時代、七三分けの髪型をして銀縁の眼鏡をかけた、見たところたいへん真面目そうな中年の教授がいました。この教授は授業中、低い声でボソボソとしゃべるのですが、いつも何の前振りもなく、ポロリと下ネタのジョークを言うのです。学生は一瞬静まり、その後、大爆笑です。
 文章の品格を保ちつつ、さりげなく下品を織り交ぜられるか。なかなか難易度の高いテーマですね。

2008年6月22日(日)

トピック46 ユーモア文章術(9) 自分のエゴを笑う

 人の心には、さまざまなエゴがあります。誰でも、虚栄心、欲、打算など、できれば他人から見抜かれたくないようなものを心の中に持って生きているものです。
 ユーモアのある文章を書く際には、このような自分のエゴを客観的に観察し、それらを隠そうとするのではなく、むしろ茶化して笑い飛ばすような心の余裕を持つことが大切です。
 昭和48年から50年にかけて朝日新聞の「天声人語」を執筆していた深代惇郎さんを、私は個人的に文章の師と尊敬しています。氏の『深代惇郎の青春日記』には、学生時代の日記が載っています。

<友人と泊まりがけのスキーに行って>
友人は便所より女湯が見えたと大騒ぎする。怪しからん男なり。しかし我輩も明日より、その便所を使う事を心中固く決意せり。

 この短文の中にも、深代さんの持つ心の余裕が垣間見られるのではないでしょうか。
 読者も同じ人間です。「人間っぽさ」の匂いたつ文章に心を引かれ、癒されるものです。

2007年6月6日(水)

トピック41 ユーモア文章術(8) 弱みを見せる

 文章を書く際には一応の決まりごとがありますが、「これぞ正解!」というものはありません。当サイトに書かれていることも、絶対視することなく、一つの読み物として楽しんでいただければ嬉しいです。
 さて、今回のテーマは「弱みを見せる」です。私たちは日頃、多かれ少なかれ、社会の仮面を被って生きています。ひとことで言えば、「格好をつけて生きている」のです。
 しかし、文章でも肩肘を張って、格好をつけていると、読者はその文章や作者に親近感を持てません。
 人は誰しも完璧ではなく、弱さや格好悪さを持っているもの。読者としては、「この人も自分と同じなんだなあ」と思えることで、心に余裕が生まれ、笑える心境になるのです。
 弱みを見せるといっても、自己卑下することではありません。凸凹な人間だけれど、精いっぱい生きている。そんな自分を客観的に、微笑ましくとらえられたとき、読者の心に響く文章が生まれてくるのではないでしょうか。

2007年5月23日(水)

トピック38 ユーモア文章術(7) 変な比喩

 前回のトピックで比喩の使い方について解説しました。これをうまく応用すると、ユーモアのある文章を書くことができます。
 ザ・ドリフターズのいかりや長介さんは生前、メンバーの高木ブーさんについて、たしかこんなことを語っていました。

「彼はドリフにとって足の小指のようなもので、いなければいないで、ドリフとしてうまく立っていられないんです」

 高木ブーさんのコメディアンとしての才能はあまりないことを認めつつも、ドリフにとっては欠かせない存在であることを「足の小指」に喩えて語ったのでした。
 変な比喩を考えるには、想像力をフルに働かせ、読者にイメージを伝える必要があります。

(例文)
 私の胃袋はたいへん丈夫で、海外で生水を飲んでも、宝くじを買うようなものである。

 「当たらない」ことを宝くじを使って喩えています。このように、駄洒落と比喩を混ぜて使ってもいいでしょう。遊び心のある比喩は、読者に新鮮な驚きと笑いを与えます。

2007年5月13日(日)

トピック32 ユーモア文章術(6) キャラ強調

 だんだんと正統的な文章講座から離れてきたような気がしますが、まあ気楽に、この調子で行こうと思います。
 さて、今回のテーマは「キャラ強調」です。以前、学校に通って映画やドラマのシナリオ(脚本)を学んだことがあります。そこではシナリオの書き方のほか、企画の立て方、キャラクターの描写法など、さまざまなことを教わりました。
 エッセイでも、登場人物をどのように書くかによって、作品のおもしろさが違ってきます。とくに読者を笑わせる文章を書くためには、登場人物の個性を際立たせなければなりません。言い換えれば、キャラクターをデフォルメ化するのです。登場人物の持っている癖、外見の特徴、変わった趣味、妙なこだわりなど、それらを強調することで、人物像を際立たせることができます。
 また、作者自身のキャラを誇張して表現することでも、おもしろい文章が書けます。コントの登場人物になったような気分で、自分を滑稽に演じてみるのも楽しいですよ。

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